<感想文>致知2023年4月号 一道に生き、わが情熱は衰えず

講師コラム

一道に生き、わが情熱は衰えず

小林研一郎 羽生善治 対談

(致知2023年4月号を読んで)

10ページに及ぶ対談で、とても密度の濃い内容なので印象に残った部分をピックアップしました。

全体を通しての姿勢。どちらの対談者も、その道を突き詰めている方です。ただ、[突き詰めた]はお二人ともおっしゃっておらず、むしろその逆で、まだまだ学ぶべきこと、挑戦することがあるという姿勢に私は感じとる部分があります。指揮者の小林さんは、60年以上。羽生さんは35年以上。経歴・結果を見れば、[プロです][知っています][私はやりました]という言葉が出てもおかしくはないですが、徹底してその道を追求し、さらなる探求をしている姿勢を私は感じ取りました。

その、続ける力の原点がどこにあるのか?小林さんの言葉の中で、こうおっしゃっています。
小林
・ベートーベン交響曲9番を聞いたとき、こんな曲が人間に作れるのか?と衝撃を受けた。幼い僕の中で、勃発するエネルギーの感覚ははっきり覚えています。
・週に一度の約束を守れず、夜中の三時ごろにそっと起きて内緒で交響曲9番を聞いていた。
・厳格な父は、僕が音楽をやることに徹底して反対した。しかし、中二で作曲の受賞するまでとなると、応援してくれるようなった。反対の理由は、父が、経済的な理由で音楽の道を断念していたこと。つらい想いをさせたくないし、半端な覚悟でやってほしくない。
・大学で作曲科を卒業し、悶々とし[指揮科にはいったらどうだろう]と考えたとき、全身から汗がダーッと流れ、指揮科に行くことを決心した。
・指揮科の卒業制作で、尊敬する先生の評価はさんざん。破門同然の扱いになるが、違う先生の所に行こうとは思わず、卒業後先生の自宅に何度も足を運ぶ。熱が伝わり、特別なレッスンを受けることに。
一つの事を続けるには、覚悟と、信念、そして探求心、柔軟さが必要ではないか?と思います。ひとまとめにすると、情熱。羽生さんは次のように語っており、腑に落ちました。

何十年と同じ姿勢で、同じ情熱を傾けられることは才能である と。私は、一つの事だけを極める人間とは程遠いですが、言わんとしていることはよくわかります。また、私が情熱をもてることに関しては、何か共通項があると思っています。簡単に言うと、創り出すことですが、この道において表現は変えながらも情熱を持ち続けたいとそう思いました。

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