<感想文>致知2022年6月号 特集総リード 伝承するを読んで
特集総リード 伝承するを読んで
特集 伝承する
(致知2022年6月号 P10-11を読んで)
今回は、総リードのテーマ「伝承」について考えてみたいと思う。
全体を読み、伝承のメッセージとして3つのキーワードが浮かび上がった。
「文」「役目」「個人主義」である。
このワードを本文の感想となぞらえて、解説していこうと思う。
前半:脳梗塞を患った入院患者が、古い致知を読み、時流には関係なく感動したという話。
また、片川さんの話では、致知という月刊誌に出会わなければ、
おそらく人生の目的が生活費を稼ぐことや、
一時の快楽を求める人生になっただろうというお話。
そして、全国大学選手権1位になった慶応野球部の堀井監督の学内木鶏会の話では、
ベンチ選手のみならず、控え選手もあわせチーム全体・全員の心構えが変わり、
一体感が生まれたことが強いチームの秘訣と語っていた。
ここで一つ目のワード、「文」。
平たく言えば「言語化」だと思う。
偉大な人物、またはコツコツを自分の道を歩み物事をなす、
「生きざま・心のありよう」を「文」として言語化することにより、
多くの人に影響を与えることになる。それが「文」。
よりよく生きよう、よくしたいと思う人間は、
必ずと言っていいほど先人の影響を受けていることは多いのではないか。
日本経済の原形を作った渋沢栄一。
彼は、二宮金次郎の生き様を「文」によって大きな影響を受けた。
その二宮金次郎は、薪を背負う銅像で有名なのだが、
その手にもつ書籍「大学」という「文」で中国の先人に影響を受けていた。
偉大な先人のありよう・生きざまは、「文」によって継承され、
感化された人たちの中のよりよく生きるための方向性を確かに示している。
ふたつめ「役目」。
中盤:総リード中盤の修養の考え。
自己の我欲を、人のためと、成長する自分のために律する考えだと思う。
その中でポイントとして感じたのが「役目」である。
人を治める(人の成長を助ける)には、「自分が成長しただけ、
他人の成長も助けることが出来る」という考え。
つまり自分が成長していない人は、他人の成長を助けられない。
まず、己が成長するために、律する。
そして、律する際に、重要なのが「役目」を考えること。
世間と離れた場所で律し、悟るということではなく、
自らのおかれている立場や、周囲から求められる「役目」が前提で、
己を律していくこと。これこそが、偉大な先人の「文」となりうる、
「役目を全うし、身を修める生き方」だと思う。
三つめ「個人主義」。
後半:この言葉だけ、違和感があると思う。
なぜこの言葉を選んだかは、反面教師的な意味合いを込めてこの言葉を選んだ。
リード文最後で、国家が滅ぶ原則の中に、
「理想を失い、心の価値を見失い、歴史を忘れた」ことが
国家や個人が衰退する道であると言っている。
「個人主義」=自分さえ良ければいい
と受け取っていただきたい。
であれば、個人主義は、どうしても己の器が小さくならざるを得ない。
なぜなら、自己の成長には、社会とのつながりの中で、
役目を果たす事が不可欠だからだ。
個人主義的観点で考えると、社会に対しては要求を行い、権利を主張し、
というスタンスになるのが仕組みである。
自分と社会との関係は、一線がひかれ、断絶された関係。
その中では、「役目」は極めて限定的になるだろうし、
成長の機会も限られたものになる。
以上、私の独断に思える見解でした。
個人はもちろん大切なのだが、同時に社会も大事であり、
個人と社会のはざまに自分の役目があり、融合されるようなかかわり方が、
大きな役目を果たしていくように感じる。
その原点となる、どのような社会を良いとするか=志であり、
志を持った方たちとの関わり・役目・成長を大切にしていきたいと思う。