<感想文>致知2024.04月号 繁栄するものと廃れ行くものの道

講師コラム

繁栄するものと廃れ行くものの道を読んで

富士製薬工業会長 今井博文氏 × 東洋思想研究家 田口佳史氏 対談
(致知2024年4月号 p66-74)

お二人の話を読んでいる途中、とてもピンとくる気づきが多く「これは、いい」と直感した。また、私は常々「徳」という言葉を聞く機会も多いのだが、そのわりに、いまいちその正体がピンと来ていなかった。しかし、文中でははっきりと「徳」のその本質について語られており、その認識が変わった。良いと思った部分を「徳」の認識を踏まえご紹介したい。

私は「徳」とは、品の良い品性の事と、道徳的なことをするというイメージを持っていた。実際文中でも、何か品のいいイメージと思いがちと記載されている。しかし、田口氏の徳に対する表現する言葉はまるで違っていた。「徳とは、いきおい」であり、その本質は「自己の最善を他者に尽くしきること」と語っている。

初めはまるで違うその概念に、キョトンとするような感覚だった。だが、対談を聞き進めると、なるほどそういうことかもしれないと力強い確信に変わっていった。お二人の言葉を借りれば、徳とは、勢いであり生命力あふれるもの。その勢いや生命力の根源は、宇宙の仕組みにのっとっているからであると、文中最後で松下幸之助さんのお話を引用しながら語られている。

この、私が文中で体験した「認識を正しく持つ」ことについて田口氏はこう言っている。(73下)格物致知の言葉は、朱子学では物に至りて知をただす。それは、そのものの本質に「いた」り、 そのもののあり方を「ただ」す。要は、核心にいたって、正しい認識にただす。
ということ。まさしく私の徳という認識を、ただしてもらった感覚だった。それまで奥歯に何か挟まっている感覚の認識が、オセロが一気に裏返るように、気持ちよくひっくり返っていった。私にとって本質を正しく認識することは、とても興味深く楽しいものである。

またお二人の対談、経営者には必見の内容である。最後にダイジェストにしてお伝えしたい。
・徳とは、勢い。そして、自己の最善を他者に尽くす事。を理念に、社員と共に作り上げていく実際のお話。また、徳を良いとする会社の価値基準に取り入れる。具体的には、仁義礼智伸という具体的評価軸に分け、それを基準の明文化をしっかり行っている。そして、徳が高い社員は、実績も出す。

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