致知23.5月号 貧しい人の目に光を、その喜びが僕の財産を読んで
貧しい人の目に光を、その喜びが僕の財産
アジア失明予防の会眼科医 服部匡志
(致知2023年5月号を読んで)
眼科医師の服部さんの対談を読ませていただいて、特に強く感じた文脈は3つ。
・すべてを一人で始める 44P 1段中央
・だんだんと感じ取るわけです 45P 1段後半
・迷ったら原点に立ち返る事 46P 3段後半
物事を成し遂げていくための服部さんならではのポイントと思います。
抽象的ですので、解説を入れながら紹介します。
服部さんの生き方の原点は父の背中だと思います。
服部氏が中三のとき、父は大阪市民生局職員で困窮した人の支援に心血を注いでいる。
そのさなか、末期の胃がんが発覚。
亡くなる前日に書いた遺書の中に、「人に負けるな、努力しろ、人のために生きろ」を括られたそうです。
「人に負けるなと、人のために生きろ」 は矛盾するような感覚でしたが、読み進めていく上でわたしは納得に変わりました。
全てを一人で始める
真野先生の人徳ある指導のおかげで、医師としての仕事の本質は何かという事の教えを受け育ち、
またその真逆である他の執刀医の患者さんに対する残念な執刀を目の当たりにして、心を深く痛めます。
葛藤の末に、確固たる技術を身につけるため腕のある病院を渡り歩く武者修行を行います。
これは、進むべき未来と、厳しい現実を知り、足りないがゆえに実力を備えるという事だと感じます。
それは、ベトナムに行って、医療機器が足りない、働き方の文化が違うのでついてきてくれない等の壁にぶつかった時にも、
自分一人でも続けていける本当の強さを実践されていると感じました。
これら全て、「人に負けるな」につながると感じます。
だんだんと感じとれるわけです
これは、ベトナムでの医療支援をしていく際に、文化性の違いから働き方が全然ちがう。
そのため、より多くの患者を診ることが出来ず、歯がゆい思いをします。医療器具が足りないことも、
自費をはたいて貯金を切り崩し用意する。
その姿をベトナムのスタフがずっと見ていたのです。
はじめはいぶかしげていたスタッフも、だんだんと感じとる。
この感じとれるまでの、想いと行動は自分一人だけでもやり遂げるという覚悟がいるのだと強く感じます。
それを実現できると、だんだんと感じとってもらえる。姿に感化されてというのが素晴らしいなと思います。
こちらも、「人に負けるな」から人に影響を及ぼすまで、進化しているように思います。
迷ったら原点に立ち返る事
最後にある、心筋梗塞、相棒の離脱、胃潰瘍など、大きな壁がそれでもやるのか?何のためにベトナムに来たのか?
という障害を投げかけます。
しかし、原点は貧しい人を助ける事。もう一度心を決めたときに、マグサイズ賞の受賞も決まり道が開けていったのは、
何とも試されているような感覚です。
父の体現した、「人に負けるな、努力しろ、人のために生きろ」を生きている方だと思い、素晴らしいことだと思います。